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「素踊り 吉野山」歌詞 ~新翔春秋会~ 市川團子、挑む。
        京都芸術劇場・春秋座 (京都芸術大学内)

ご観劇のお供に是非ご活用下さいませ!

※本公演は清元のみの演奏になります。


「吉野山」

恋と忠義はいずれが重い 掛けて思いは計りなや
静に忍ぶ旅立ちや

宇賀の御霊の御社はいと尊くもこうこうと かすみの中にみかの原

わきて形見の鼓の可愛い 可愛い可愛いの睦言も
人には包むふくさもの それを頼りにつく杖の
心ぼそ野をうち過ぎて

谷の鶯 初音のつづみ はつねの鼓
調あやなす音に連れて つれて真似草 音に連れて
遅ればせなる忠信が 吾妻からげの旅姿

背に風呂敷 しかと背負たらおうて 野道あぜ道ゆらりゆらり
軽いとりなりいそいそと 目立たぬように道隔て

静 「おぉ忠信殿 待ちかねましたわいな」
忠信「これはこれは静様 女中の足と侮って思わぬ遅参 まっぴら御免くださりましょう」
静 「ここは名に負う吉野山 四方の梢もいろいろに」
忠信「春立つと 云うばかりにや三吉野の」
静 「山も霞みて」
忠信「今朝は」
両人「見ゆらん」

見渡せば 四方の梢もほころびて
梅が枝唄う歌姫の 里の男子が声々に
我が夫が天井ぬけて据える 昼の枕はつがもなや
天井ぬけて据える膳 昼の枕はつがもなや
可笑し烏の一節に

徳若にご万歳とは 君も栄えてましんます
愛嬌ありける柳ごし よい中村のやぐら幕
櫓太鼓のにぎにぎと 商い神の若えびす
繁盛まします その御徳に 御田の稲には穂に穂を栄え
宝御船萬石舟 色の実入りに今年綿
誠に目出度う さむらいける 
やしょめやしょめ 京の町のやしょめ
売ったるものは何々 はまぐり はまぐり
蛤 はまぐり はまぐり
はまぐり見さいなと売ったるものは何々
はまぐり早き貝合わせ

弥生は雛の妹背中 女雛男雛と並べておいて
眺めに飽かぬ三日月の 宵に寝よとは きぬぎぬに
急かれまいぞと恋の欲 桜は酒が過ぎたやら
桃にひぞりて後ろ向き 羨ましうは ないかいな

はや東雲のほととぎす 京ぞ皐月の花あやめ
賀茂のあおいに藤の花 世々の試しの比べ馬
はいはい はいはいはい
そもそも馬に七ケの秘所 三ケの手綱 五ケの鞍
真っ先かけて乗り出だす あっぱれ見事や派手らしや

忠信「せめては憂さを 幸い 幸い」

姓名添えて賜わりし 御着せ長を取り出だし
君と敬い奉る しずかは鼓を御顔と よそえて上に置きの石
人こそ知らね西国へ 御下向の御海上 波風荒く御船を
住吉浦に吹き上げられ それより吉野にまします由
やがてぞ参り候らはんと 互いに形見を取り納め
実にこの鎧を賜わっしも 兄継信が忠勤なり

静 「なに継信が 忠勤とや」

誠にそれよ 来し方を

思いぞ出る壇ノ浦の

忠信「海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」

源氏の強者 あら物々しやと夕日影 長刀引きそばめ
何某は平家の侍 悪七兵衛景清と名乗りかけ
薙ぎ立て薙ぎ立て 薙ぎ立つれば
花に嵐のちりちりぱっと 木の葉武者
言い甲斐なしとや方々よ 三保谷の四郎これにありと
渚にちょうと打ってかかる 刀を払ろう長刀の えなれぬ振る舞い いづれとも
勝り劣りは波の音 打ち合う太刀の鍔元(つばもと)より 折れて引く潮 帰る雁
勝負の花と見すつるかと 長刀小脇にかい込んで 兜の錣(しころ)を引っ掴み
後へ引く足 たじたじたじ 向こうへ行く足 よろよろよろ
むんずと錣をひっ切って 双方尻江に どっかと座す
腕の強さと言いければ 首の骨こそ強けれと
ムフフフフフ ダハハハハハ
笑いし後は入り乱れ 手しげき働き兄継信
君の御馬の矢面に 駒を駆け据え立ち塞がる

静 「おぉ聞き及ぶその時に 平家の方にも 名高き強弓」

能登守

静 「教経と」

名乗りも和えず よっ引いて 放つ矢先は恨めしや
兄継信が胸板に たまりもあえず真っ逆さま 敢え無き最後は武士の
忠臣義士の名を残す 思い出ずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井筒

いつか御身も伸びやかに 春の柳生の いと長く
枝を連ぬる御契り などかは朽ちしかるべきと
互いに諫め いさめられ 急ぐとすれど はかどらぬ 芦原峠 鴻の里
雲と見紛う三吉野の 麓の里にぞ





2024.9.3現在

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「吉野山」歌詞 2024年 二月御園座大歌舞伎

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「吉野山」歌詞

二月御園座大歌舞伎~十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台~バージョン

※赤=竹本連中

恋と忠義はいずれが重い 掛けて思いは計りなや
静に忍ぶ旅立ちや

馴れぬ茂みのまがい道 弓手(ゆんで)も馬手(めて)も若草を
分けつつ行けば あさる雉子(きぎす)のぱっとたっては
ほろろ けんけん ほろろうつ
なれは子ゆえに身を焦がす 我は恋路に迷う身の
ああ羨まし 妬ましや

谷の鶯 初音のつづみ はつねの鼓
調あやなす音に連れて つれて真似草 音に連れて
遅ればせなる忠信が 吾妻からげの旅姿
背に風呂敷 しかと背負たらおうて 野道あぜ道ゆらりゆらり
軽いとりなりいそいそと 目立たぬように道隔て

静 「おぉ忠信殿 待ちかねましたわいな」
忠信「これはこれは静様 女中の足と侮って思わぬ遅参 まっぴら御免くださりましょう」
静 「ここは名に負う吉野山 四方の梢もいろいろに」
忠信「春立つと 云うばかりにや三吉野の」
静 「山も霞みて」
忠信「今朝は」
両人「見ゆらん」

見渡せば 四方の梢もほころびて
梅が枝唄う歌姫の 里の男子が声々に
我が夫が天井ぬけて据える 昼の枕はつがもなや
可笑し烏の一節に

弥生は雛の妹背中 女雛男雛と並べておいて
眺めに飽かぬ三日月の 宵に寝よとは きぬぎぬに
急かれまいぞと恋の欲 桜は酒が過ぎたやら
桃にひぞりて後ろ向き 羨ましうは ないかいな

忠信「せめては憂さを 幸い 幸い」

姓名添えて賜わりし 御着せ長を取り出だし
君と敬い奉る しずかは鼓を御顔と よそえて上に置きの石
人こそ知らね西国へ 御下向の御海上 波風荒く御船を
住吉浦に吹き上げられ それより吉野にまします由
やがてぞ参り候らはんと 互いに形見を取り納め
実にこの鎧を賜わっしも 兄継信が忠勤なり

静 「なに継信が 忠勤とや」

誠にそれよ 来し方を

思いぞ出る壇ノ浦の

忠信「海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」

源氏の強者 あら物々しやと夕日影 長刀引きそばめ
何某は平家の侍 悪七兵衛景清と名乗りかけ
薙ぎ立て薙ぎ立て 薙ぎ立つれば
花に嵐のちりちりぱっと 木の葉武者
言い甲斐なしとや方々よ 三保谷の四郎これにありと
渚にちょうと打ってかかる 刀を払ろう長刀の えなれぬ振る舞い いづれとも
勝り劣りは波の音 打ち合う太刀の鍔元(つばもと)より 折れて引く潮 帰る雁
勝負の花と見すつるかと 長刀小脇にかい込んで 兜の錣(しころ)を引っ掴み
後へ引く足 たじたじたじ 向こうへ行く足 よろよろよろ
むんずと錣をひっ切って 双方尻江に どっかと座す
腕の強さと言いければ
首の骨こそ強けれと
ムフフフフフ ダハハハハハ
笑いし後は入り乱れ 手しげき働き兄継信
君の御馬の矢面に 駒を駆け据え立ち塞がる

静 「おぉ聞き及ぶその時に 平家の方にも 名高き強弓」

能登守

静 「教経と」

名乗りも和えず よっ引いて 放つ矢先は恨めしや
兄継信が胸板に たまりもあえず真っ逆さま 敢え無き最後は武士の
忠臣義士の名を残す 思い出ずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井筒

掛かるところへ早見の藤太 家来引き連れ立ち至る

※早見の藤太・家来 セリフ (舞台でお楽しみに!)※

禰宜が鼓に鈴振る手元 ちょっと鳥居を ありゃありゃしてこい
飛び越え狐 愛嬌も 宇賀の御霊は玉姫稲荷
妻恋 染めて嫁入りして
そこらでしめたぞ天日照り
堅い契りのお岩様 四ツ谷でお顔を三巡りに
好いたらしいと思うたる 縁に引かれて車咲き
ちょっとおさえた強力の
袖すり抜けてどっこいな
えぇもうしつこい そこいらで
翁稲荷か とうとうたらり 喜びありや烏森

いつか御身も伸びやかに 春の柳生の いと長く
枝を連ぬる御契り などかは朽ちしかるべきと
互いに諫め いさめられ 急ぐとすれど はかどらぬ 芦原峠 鴻の里
雲と見紛う三吉野の
麓の里にぞ

2024.1.29 現在


吉野山の解説はこちら

國惠太夫Web site 「吉野山」解説

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2023年3月1日放送 NHK FMラジオ 邦楽のひととき「吉野山」

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こんにちは。くにえです。

本日、NHKFMラジオ「邦楽のひととき」の収録をして参りました。




2023.3.1_NHK2.jpg

2023.3.1_NHK1.jpg


NHK FMラジオ「邦楽のひととき」
「吉野山(カット部分有り)」


放送日
2023年3月1日(水) 午前11時20分~ 午前11時50分
(再放送無し)


演奏
浄瑠璃
清元 清榮太夫  清元 一太夫  清元 國惠太夫
三味線
清元 菊輔  清元 美三郎  清元 美十郎(上)



曲の解説&歌詞を掲載いたします。
放送をお聴きの際はご活用ください!数倍楽しんで頂けると思います(^^)


「吉野山」
(國惠太夫HP「清元曲辞典」に飛びます。)




今回の放送は時間の関係でカット部分がございます。

放送用カットバージョンの歌詞を下記に掲載させていただきます。


「吉野山」(放送バージョン)

谷の鶯 初音のつづみ はつねの鼓
調あやなす音に連れて つれて真似草 音に連れて
遅ればせなる忠信が 吾妻からげの旅姿
背に風呂敷 しかと背負たらおうて 野道あぜ道ゆらりゆらり
軽いとりなりいそいそと 目立たぬように道隔て

静 「おぉ忠信殿 待ちかねましたわいな」
忠信「これはこれは静様 女中の足と侮って思わぬ遅参 まっぴら御免くださりましょう」
静 「ここは名に負う吉野山 四方の梢もいろいろに」
忠信「春立つと 云うばかりにや三吉野の」
静 「山も霞みて」
忠信「今朝は」
両人「見ゆらん」

弥生は雛の妹背中 女雛男雛と並べておいて
眺めに飽かぬ三日月の 宵に寝よとは きぬぎぬに
急かれまいぞと恋の欲 桜は酒が過ぎたやら
桃にひぞりて後ろ向き 羨ましうは ないかいな

忠信「せめては憂さを 幸い 幸い」

姓名添えて賜わりし 御着せ長を取り出だし
君と敬い奉る しずかは鼓を御顔と よそえて上に置きの石
人こそ知らね西国へ 御下向の御海上 波風荒く御船を
住吉浦に吹き上げられ それより吉野にまします由
やがてぞ参り候らはんと 互いに形見を取り納め
実にこの鎧を賜わっしも 兄接信が忠勤なり

静 「なに継信が 忠勤とや」

誠にそれよ 来し方を
思いぞ出る壇ノ浦の

忠信「海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」

源氏の強者 あら物々しやと夕日影 長刀引きそばめ
何某は平家の侍 悪七兵衛景清と名乗りかけ
薙ぎ立て薙ぎ立て 薙ぎ立つれば
花に嵐のちりちりぱっと 木の葉武者
言い甲斐なしとや方々よ 三保谷の四郎これにありと
渚にちょうと打ってかかる 刀を払ろう長刀の えなれぬ振る舞い いづれとも
勝り劣りは波の音 打ち合う太刀の鍔元(つばもと)より 折れて引く潮 帰る雁
勝負の花と見すつるかと 長刀小脇にかい込んで 兜の錣(しころ)を引っ掴み
後へ引く足 たじたじたじ 向こうへ行く足 よろよろよろ
むんずと錣をひっ切って 双方尻江に どっかと座す
腕の強さと言いければ 首の骨こそ強けれと
ムフフフフフ ダハハハハハ
笑いし後は入り乱れ 手しげき働き兄継信
君の御馬の矢面に 駒を駆け据え立ち塞がる

静 「おぉ聞き及ぶその時に 平家の方にも 名高き強弓」

能登守

静 「教経と」

名乗りも和えず よっ引いて 放つ矢先は恨めしや
兄継信が胸板に たまりもあえず真っ逆さま 敢え無き最後は武士の
忠臣義士の名を残す 思い出ずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井筒

いつか御身も伸びやかに 春の柳生の いと長く
枝を連ぬる御契り などかは朽ちしかるべきと
互いに諫め いさめられ 急ぐとすれど はかどらぬ 芦原峠 鴻の里
雲と見紛う三吉野の 麓の里にぞ 着きにける








宜しくお願い致します!









清元 國惠太夫

3月26日(土)NHK FM 邦楽百番「吉野山」放送

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こんにちは。くにえです。

本日、NHK FMラジオ「邦楽百番」の収録をして参りました。



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NHK FMラジオ「邦楽百番」

清元「吉野山」

放送日時
2022年3月26日(土)11:00~11:50
2022年3月27日(日)5:00~5:50(再放送)

出演
浄瑠璃
清元 清寿太夫(人間国宝) 清元 清美太夫  清元 一太夫  清元 國惠太夫
三味線
清元 志寿造  清元 美三郎  清元 美十郎(上)





「吉野山」の解説&歌詞はこちらです。
お聴きのお供にお役立てくださいませ!
   ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓

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宜しくお願い致しますm(_ _)m





清元 國惠太夫

八月大歌舞伎 本日千穐楽を迎えました!

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こんにちは。くにえです。

 

本日、歌舞伎座「八月大歌舞伎」第三部・吉野山が千穐楽を迎えました。

 

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何度見ても華やかで素敵な吉野山のセットですが、

今月の舞台はより一層グッとくるものがありました。

 

気持ちのどこかで、毎日舞台があって「あたりまえ」とどこかで考えていた自分に

大きく反省したひと月でもありました。

 

舞台稽古、初日を迎え、毎日「防感染」の緊張感。

もちろんくにえだけでの話だけではなく、スタッフの方々や出演者の皆様が同じ気持ちだったと思います。

 

そして何より、この不安定な時期にもかかわらず足をお運び下さった多くのお客様。

涙を拭っておられるお客様も幾人もおられました。

 

不思議なもので、マスクをつけていらしてもお客様方の楽しげな表情や気持ちを感じられました。

励みになります。力が湧いてきます。

 

本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

来月も第二部「かさね」に出演させていただく予定です。

(國惠太夫blog 「九月大歌舞伎・歌舞伎座」)

 

宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

清元 國惠太夫

吉野山 歌詞&プチ解説

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こんにちは。くにえです。

 

今月歌舞伎座「八月花形歌舞伎」第三部「吉野山」の歌詞とプチ解説を書こうと思います。

國惠太夫blog「八月花形歌舞伎in歌舞伎座」もご参照ください(^O^)

 

 

 

解説

吉野山。本名題を「幾菊蝶初音道行(いつもきくちょうはつねのみちゆき)」といいます。

※別名を登場人物から「忠信」と表現されることもあります。

通し狂言「義経千本桜」の四段目。

元々は義太夫節「道行初音旅」を「富本節」に改作。そして「富本節」から明治41年に「清元節」に改調されて現在の曲になりました。

 

静御前は佐藤忠信(実は源九郎狐)をお供に連れて義経のいる吉野山に旅立ちます。その静御前が義経から貰った「初音の鼓」は、忠信に化けた源九郎狐の親の皮を使って作られていました。

「初音の鼓」を慕い、懐かしむ狐忠信。

鼓の音や周りに飛んでいる蝶と、つい戯れてしまい時折狐の本性が出てしまうというコミカルな部分も見どころです。

 

曲の前半は、静御前が道を急ぎながらも吉野山の美しい風景と想い人(義経)への気持ちを重ねる場面。

中盤は忠信の兄である佐藤嗣信が壇ノ浦で義経を守り、討ち死にしてしまった話を静御前に報告する場面。

後半は静御前を捕らえるべく追いかけてきた「早見の藤太」との戦闘場面。

 

と、笑いあり涙ありの大作です。

  

 

初演

文化5年(1808)5月。江戸中村座。(富本節として)

忠信・三代目中村歌右衛門

静御前・四代目瀬川菊之丞

 

作詞者

三世 瀬川如皐(清元に改訂・竹柴金作)

作曲

富本・鳥羽屋里長(清元に改曲・清元梅吉)

 

 

 

今月の舞台で上演される個所の歌詞を掲載いたします。

歌詞を読まれると場面の雰囲気や意味が分かり、一層舞台を楽しくご覧いただけると思います!

 

 

  

歌詞

 

恋と忠義はいずれが重い 掛けて思いは計りなや

静かに忍ぶ旅立ちや

馴れぬ茂みのまがい道 弓手(ゆんで)も馬手(めて)も若草を

分けつつ行けば あさる雉子(きぎす)のぱっとたっては。

ほろろ けんけん ほろろうつ

なれは子ゆえに身を焦がす 我は恋路に迷う身の

ああ羨まし 妬ましや

 

谷の鶯 初音のつづみ はつねの鼓

調あやなす音に連れて つれて真似草 音に連れて

遅ればせなる忠信が 吾妻からげの旅姿

 

背に風呂敷 しかと背負たらおうて 野道あぜ道ゆらりゆらり

軽いとりなりいそいそと 目立たぬように道隔て

 

静 「おぉ忠信殿 待ちかねましたわいな」

忠信「これはこれは静様 女中の足と侮って思わぬ遅参 まっぴら御免くださりましょう」

静 「ここは名に負う吉野山 四方の梢もいろいろに」

忠信「春立つと 云うばかりにや三吉野の」

静 「山も霞みて」

忠信「今朝は」

両人「見ゆらん」

 

見渡せば 四方の梢もほころびて 梅が枝唄う歌姫の

里の男子が声々に 我が夫が天井ぬけて据える膳

昼の枕はつがもなや 天井ぬけて据える膳

昼の枕はつがもなや 可笑し烏の一節に

 

徳若にご万歳とは 君も栄えてましんます

愛嬌ありける柳ごし よい中村のやぐら幕

櫓太鼓のにぎにぎと 商い神の若えびす

繁盛まします その御徳に 御田の稲には穂に穂を栄え

宝御船萬石舟 色の実入りに今年綿

誠に目出度う さむらいける 

やしょめやしょめ 京の町のやしょめ

売ったるものは何々 はまぐり はまぐり

蛤 はまぐり はまぐり

はまぐり見さいなと売ったるものは何々

はまぐり早き貝合わせ

 

弥生は雛の妹背中 女雛男雛と並べておいて

眺めに飽かぬ三日月の 宵に寝よとは きぬぎぬに

急かれまいぞと恋の欲 桜は酒が過ぎたやら

桃にひぞりて後ろ向き 羨ましうは ないかいな

 

忠信「せめては憂さを 幸い 幸い」

 

姓名添えて賜わりし 御着せ長を取り出だし

君と敬い奉る しずかは鼓を御顔と よそえて上に置きの石

 

人こそ知らね西国へ 御下向の御海上 波風荒く御船を

住吉浦に吹き上げられ それより吉野にまします由

やがてぞ参り候らはんと 互いに形見を取り納め

実にこの鎧を賜わっしも 兄嗣信が忠勤なり

 

静「なに嗣信が 忠勤とや」

 

誠にそれよ 来し方を 思いぞ出る壇ノ浦の

 

忠信「海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」

 

源氏の強者 あら物々しやと夕日影 長刀引きそばめ

何某は平家の侍 悪七兵衛景清と名乗りかけ

薙ぎ立て薙ぎ立て 薙ぎ立つれば

花に嵐のちりちりぱっと 木の葉武者

言い甲斐なしとや方々よ 三保谷の四郎これにありと

渚にちょうと打ってかかる 刀を払ろう長刀の えなれぬ振る舞い いづれとも

勝り劣りは波の音 打ち合う太刀の鍔元(つばもと)より 折れて引く潮 帰る雁

勝負の花と見すつるかと 長刀小脇にかい込んで 兜の錣(しころ)を引っ掴み

後へ引く足 たじたじたじ 向こうへ行く足 よろよろよろ

むんずと錣をひっ切って 双方尻江に どっかと座す

腕の強さと言いければ 首の骨こそ強けれと

ムフフフフフ ダハハハハハ

笑いし後は入り乱れ 手しげき働き兄嗣信

君の御馬の矢面に 駒を駆け据え立ち塞がる

 

静 「おぉ聞き及ぶその時に 平家の方にも 名高き強弓」

 

能登守

 

静 「教経と」

 

名乗りも和えず よっ引いて 放つ矢先は恨めしや

兄嗣信が胸板に たまりもあえず真っ逆さま 敢え無き最後は武士の

忠臣義士の名を残す 思い出ずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井筒

 

掛かるところへ早見の藤太 家来引き連れ立ち至る

 

※早見の藤太・家来 セリフ (舞台でお楽しみに!)※

 

禰宜が鼓に鈴振る手元 ちょっと鳥居を ありゃありゃしてこい

飛び越え狐 愛嬌も 宇賀の御霊は玉姫稲荷

妻恋 染めて嫁入りして そこらでしめたぞ天日照り

堅い契りのお岩様 四ツ谷でお顔を三巡りに

好いたらしいと思うたる 縁に引かれて車咲き

ちょっとおさえた強力の 袖すり抜けてどっこいな

えぇもうしつこい そこいらで

翁稲荷か とうとうたらり 喜びありや烏森

 

いつか御身も伸びやかに 春の柳生の いと長く

枝を連ぬる御契り などかは朽ちしかるべきと

互いに諫め いさめられ 急ぐとすれど はかどらぬ 芦原峠 鴻の里

雲と見紛う三吉野の 麓の里にぞ ※(着きにける)

 

赤字 竹本連中)

 

 

 

 

 

清元 國惠太夫

 

 

 

 

 

 

 

 

参考資料

清元全集 清元集 清元五十番

歌舞伎座 初日を勤めさせていただきました

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こんにちは。くにえです。

 

本日、歌舞伎座「八月花形歌舞伎」初日を迎えました。 

 

お客様は通常に比べ半分以下の約900人。

桟敷席、席の間隔を空けてのお席です。

 

しかしお客様半分とは思えないほどの大きな大きな拍手。

定式幕は下手から上手へ開いてゆくにつれ、強烈な感動で身体が震えました。

 

あー。ようやく始まるんだなぁ。と緊張感ではない何とも言えない温かい気持ちになりました。

 

心から舞台の再開を嬉しく思っております。

 

2020.8_kabukiza_syonichi.jpg

開幕直前に撮影してもらいました。

2020.8_kabukiza_syonichi_kunie.jpg

地方は飛沫感染を少しでも軽減するために特殊なマスクを使用しております。

※写真提供 清元瓢太夫氏  撮影 清元美一郎氏

 

 

 

本日は満員御礼の多くのお客様。厚く御礼申し上げます。

今日から26日千穐楽まで精一杯勤めさせていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清元 國惠太夫

新春浅草歌舞伎 本日千穐楽です!

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こんにちは。くにえです。

 

毎日お寒うございます。:;(∩´﹏`∩);:

 

さて本日は新春浅草歌舞伎千穐楽でございます!

 

 

2017.01_asakusakabuki_butai.jpg

吉野山の舞台開幕前の写真です。

一太夫さんと瓢太夫さんが写っています(/・ω・)/

 

昨年末のお稽古を合わせますと合計で28回吉野山を演奏いたしました(笑)

 

何事もそうですが一歩一歩進めば必ずゴールに着くということですね(^o^)

今日も変わらず気を引き締めて勤めて参ります!

 

 

 

 

清元 國惠太夫

10月 大歌舞伎 歌舞伎座レポート「三社祭」「吉野山」

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こんにちは。くにえです。

 

またまた久しぶりの更新となってしまいました(^_^;)
最近寒くなりました。秋を通り越して冬が訪れているかのようですね。

 

さて、今月歌舞伎座では「十七代目中村勘三郎 二十七回忌、十八代目中村勘三郎 三回忌の追善興行」が

行われております。

 

 

今回もほんのチョコっとですが舞台裏をご紹介します(笑)

 

 

2014.10_kabukiza_sanjyamaturi.jpg

昼の部「三社祭」のスタンバイ中の写真です。

今回は長唄「近江のお兼」との上下で掛かっております。

一度幕は閉まりますが早転換のため、下手の移動式の山台でスタンバイをしております。

 

写真奥では、まさに近江のお兼の舞台本番中です!

下手舞台袖より撮りました。

少々くらいですが、見台がアップで写っております。

 

 

 

2014.10_kabukiza_yoshinoyama.jpg

夜の部「吉野山」の開幕前の写真です。

ちなみに写っているのは奥から清元瓢太夫さんと清元佐季太夫さん(の背中(笑))です。 

何度見ても、やはり歌舞伎座のセットは大きくてとても綺麗ですヽ(・∀・)ノ

 

 

今月は2演目とも山台が下手の正面に置かれています。

 

客席を正面で見渡すのは歌舞伎座が新しくなってからはくにえは初めてです。

 

ほんっとに歌舞伎座って大きいな~。(*´∀`*)

 

 

 

 

 

清元 國惠太夫

日生劇場 二月大歌舞伎レポート 舞台

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こんにちは。くにえです。

 

今日の東京は比較的暖かな気候で上着を着ていると少々暑い感じでした(^_^;)

 

さて、現在日比谷日生劇場に出演させていただいておりますヽ(・∀・)ノ

 

今月の吉野山の舞台です。

2013.2_nisseigekijyou_yoshinoyama_butai1.jpg

我々清元は下手の正面に座ります。

 

今月高麗屋(松本幸四郎丈)が開幕に際し口上を写真右手の浅黄幕の前で述べられるため

吊るしてあります。

口上が終わると浅黄幕を引いて吉野山に掛かるという演出です。

 

 

 

2013.2_nisseigekijyou_yoshinoyama_butai.jpg

何故か同じ位置からの2枚目の写真です。

 

今月一緒に山台で唄う清元一太夫さんがカメラ目線です(笑)

この写真はtake2の写真ですが・・・・・・・・。

 

あっ!?

一太夫さんに「take1は不意をつかれたから撮り直しのtake2のみを載せて」って

言われてたっけ?!

 

ごめんなさい!両方載せちゃいました(←確信犯)m(_ _)m

 

 

 

清元 國惠太夫

こんにちは。くにえです。

 

今日の東京はとても暖かく上着を着ていると薄ら汗をかいてしまうほどです(^_^;)

外にいると目が痒くてくしゃみが出ます・・・。

まさかあの忌まわしき「花粉」の到来でしょうか?!(; ̄O ̄)

 

 

さて、今回NHKの番組ホームページ「古典を楽しもう」に於いて「古典芸能アーカイブス」の

ページが公開されたそうです。

 

番組内容の紹介として2011年初頭にスタジオでくにえも収録に参加させていただきました

「吉野山」の動画の一部が公開されております。

(収録時の内容は國惠太夫blogNHKテレビ収録「吉野山」をご覧下さい!)

 

 

NHKHP_kotengeinouwotanoshimou.jpg

(画像をクリックするとNHKのHPにアクセスできます)

 

NHKのHPを開いていただき、下方の「舞踊(義太夫・清元)「吉野山」坂東三津五郎 中村時蔵」を

クリックしていただくと見れます!ヽ(・∀・)ノ

 

くにえも一節唄っております。

聴いてくにえを探してみてください(*'▽'*)♪

 

 

清元 國惠太夫

2013年1月 大阪松竹座レポート1

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こんにちは。くにえです。



今日は1月10日です。

大阪では「十日戎(とおかえびす)」と言って今宮戎神社で例大祭が開かれております!
詳しくはこちらをどうぞ!(今宮戎神社ホームページ 十日戎


催しの一つとして「宝恵駕籠(ほえかご)」というものがあります。
駕籠の上にゲストが乗って街を練り歩くというとても華やかなものです。

今回は市川猿之助丈や市川中車丈も参加なさっておられたようです。(´∀`*)






さて、今回のレポートは恒例の舞台本番前を撮りました。


2013.1_syouchimuza_yamadai.jpg

今回は歌舞伎興行「吉野山」には珍しく、雛壇の山台です。


人間国宝の清元清寿太夫師も「吉野山での雛壇は経験が無い」とのことですので、
超レアなんだと思います。


ようやく大阪の生活にも慣れ始めてきました。


また機会がありましたらレポートを入れたいと思います。
(*^^)v



清元 國惠太夫

大阪松竹座レポート2

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こんにちは。くにえです。

 

今は訳あって東京に戻っております。

大阪も暑いですが、東京も負けてませんね(;´・ω・)

 

 

大阪松竹座「七月大歌舞伎」もいよいよ今日・27日が千秋楽となります。

 

今回は「大阪松竹座レポート第2弾」としまして・・・・・といっても、早くもこれで最終回です(笑)

 (前回の大阪松竹座レポート1はこちら)

 

 

くにえも出演させていただいております、清元「吉野山」の舞台写真です。

 

2012.7_oosaka_syouchikuza_butao.jpg

 

 写真では中央に大きな桜の木が一本設置されています。

舞台のオモシロイところはこの数分後には背景と両脇の書き割り、照明などで吉野山が

出現してしまうところですヽ(〃v〃)ノ

 

また、緑色の裃をつけたお二方。

左手前の方が志寿子太夫さん、真ん中辺りに瓢太夫君。

 

くにえと共に舞台に出演なさる太夫さんの背中です(笑)

 

 

あと1日。しっかりと勤めさせていただきます!

 

 

 

清元 國惠太夫

 

11月新橋演舞場・初日が開きました!~吉野山~

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こんにちは。くにえです。

 

先月28日のNHKや29日の清朗会(雁金)では多くの方にご清聴いただき、まことに感謝しております。

個人的にいくつか電話やメールをいただきました!

本当にありがとうございます!(^^)

 

 

今日、新橋演舞場での歌舞伎興行が初日を向かえました。

くにえも今日から6日まで新橋演舞場・昼の部「吉野山」に出演させていただいております。

 

新橋演舞場のチラシ等を掲載しております。(10月25日・更新ブログ)http://kuniedayu.com/blog/2011/10/post-110.html

 

 

2011.11_shinbashienbujyou_butai1.jpg

 新橋演舞場・昼の部・吉野山の舞台です。

 

 

2011.11_shinbashienbujyou_butai2.jpg

 

 開演直前の写真です。皆さんスタンバイをしています。

照明によりハレーションをおこしてしまっていて少々見づらいですね(汗)すみませんm(_ _)m

 

 

立方は佐藤忠信・尾上松緑丈、静御前・尾上菊之助丈、逸見藤太・市川團蔵丈です。

 

 

 

6日まで精一杯勤めさせていただきたいと思います!

 

 

清元 國惠太夫

NHKテレビ収録「吉野山」

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こんにちは。くにえです。

 

今日NHKで吉野山のテレビ収録をしてきました。

 

2011_2_13_NHK_tv.jpg

写真は音声・カメラリハーサルが終わって、本番収録30分前のものです。

 

 

 

吉野山については以前書きましたのでこれをどうぞ(笑)

http://kuniedayu.com/blog/2010/09/post-66.html

 

 

 

 

吉野山 

 

 

立方     忠信・坂東三津五郎   静御前・中村時蔵

 

 

清元     浄瑠璃

       清元美寿太夫 清元清栄太夫 清元清美太夫 清元國惠太夫

       三味線

       清元菊輔 清元栄吉 清元雄二朗

 

        

 

       義太夫連中

       鳴物連中 

 

 

放送日

2011年4月1日22:15~ 「芸能百花繚乱」内でダイジェスト版放送予定

 

 

 

 

4月1日放送分は新番組の第1回目放送の中でダイジェスト版で放送されるそうです。

ノンカット版も近日中に放送予定だそうですのでお楽しみに!

 

 

 

清元 國惠太夫

 

 

大阪・新歌舞伎座 杮落とし興行

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こんにちは。くにえです。

 

名古屋に引き続き、大阪におります。

この数日、雨が降ったお陰で大阪も過ごしやすい気候になって来ました。

2010_9_shinkabukiza_syoumen.jpg

現在、大阪は上本町駅前に新しく完成しました「新歌舞伎座」に出演させていただいております!

新しい舞台はすべてがピカピカで空気も澄んでいます(笑)

今回の演目も「吉野山」です!今年はホントに大人気ですね!!

2010_9_osaka_shinkabukiza.jpg

※「吉野山」については前回の記事をご参照ください。

http://kuniedayu.com/blog/2010/09/post-66.html

そしてそして、楽屋も綺麗で広い!快適ですよ!

不動産のセールスマン張りに褒め殺しです(笑)

2010_9_shinkabukiza_gakuya.jpg

楽屋の写真です。

新しい畳ならではの「い草」の匂い。

日本人の最良の癒しですよね!

 

 

清元 國惠太夫

 


清元 吉野山とは

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こんにちは。くにえです。

 

大変お待たせいたしました!

 

今日はお問い合わせを幾つか頂戴しました、清元「吉野山(よしのやま)」について、
時代背景も織り交ぜながら書かせていただきます(笑)

 

本名題を「幾菊蝶初音道行(いつもきくちょうはつねのみちゆき)」といいます。
通称として、登場人物の名を取った「忠信(ただのぶ)」、
または場面から取って「吉野山」とも呼びます。

本名題にもあるように「道行物(みちゆきもの)」「時代物」として区分されます。


概要は、源義経の愛妾である静御前が、佐藤忠信をお供に連れて義経一行のいる吉野山の館へと向かう場面。

佐藤忠信とは、義経が奥州藤原家に身を寄せていた時に兄・佐藤継信と共に付き従ってきた忠臣です。

 

この佐藤忠信がニセ者で、実はキツネ(狐忠信)というのが、歌舞伎ならではのユニークな設定です。

 

静御前の所持する「初音の鼓(はつねのつづみ)」が狐忠信の母親の皮で出来ていて、
それを慕ってつきまとっているのです。

忠信は、時おり狐らしい手つきや動きが出てしまい、気付かれぬように必死に隠すというコミカルな演出が随所にあります。

 

 

見どころのひとつは曲の中盤、義太夫との掛け合いで

「思いぞ出ずる 壇ノ浦の 海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」から始まる部分。

 

兄の佐藤継信が壇ノ浦の戦いで勇ましい奮戦をし、そして最期を迎えるありさまを静御前に語って聞かせるところです。

そしてもうひとつの見どころは、そうこうしている間に逸見藤太(早見の藤太)ら、役人が静御前を捕えに来るのを忠信がなんなく蹴散らす場面です。

静御前と共に先へと急ぐところで幕引きです。

 

演目の前半は、静御前が吉野の桜や鶯の声聞きながら優美な雰囲気を創り出します。

後半は、忠信が前述の見どころのとおり勇壮な内容になっていて、それぞれにマッチした曲調となっています。

 

まさに歌舞伎の傑作の一つでしょう!

 

 

簡潔に書かせていただきました。

「吉野山」は歌舞伎において非常に多く上演されます。
先月に引き続き今月も大阪新歌舞伎座で上演されています。
(くにえも今日より出演させていただいてます!また近々ご報告いたします!)

 

是非一度は生で見ていただきたいと思います。

 

◆吉野山

清元の「吉野山」となるまでには、複雑ないきさつがあります。

「吉野山」は延享4年(1747年)11月、大阪の竹本座で初演された義太夫節「義経千本桜」の四段目「道行初音旅」の改作です。
江戸ではその翌年寛延元年(1748年)に中村座で初めて上演されました。(二世竹田出雲・並木千柳・三好松洛?の合作)

これを文化元年(1804年)、常磐津に移し上演されました。これが江戸浄瑠璃の最古と言われています。
文化5年(1808年)5月、中村座で清元の前身である富本節(とみもと)に改曲し、文政4年(1821年)に「調絲初音環(しらべのいとはつねのおだまき)」という名で清元延寿太夫が出演しました。

これが清元「吉野山」としての初演です。


◆参考文献

江戸豊後浄瑠璃史・清元集(紫本)・清元全集(日本音曲全集)


 

清元 國惠太夫

国立大劇場 「市川亀治郎の会」 その2

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こんにちは。くにえです。

 

昨日より市川亀治郎丈の会に出演させていただいております。

 

2010_8_20_kemejiro_no_kai_1.jpg

 

今回の「吉野山」は特別で三味線4人・浄瑠璃5人(4丁5枚)という編成です。

 

左より、

國惠太夫・清美太夫氏・清栄太夫氏・美寿太夫氏・御家元・菊輔師・栄吉氏・雄二朗氏・志一朗氏です。

 

連日ほぼ満員の客席に追加公演も決定したようです!

ただ、追加日も即日完売だったそうですよ!

 

 

 

 

2010_8_20_kemejiro_no_kai_2.jpg

今回「亀治郎の会」のスタッフの方々や我々地方等へ配られたTシャツです。 

 

一同これを着てタイヘンな盛り上がりです(笑)

 

 

清元 國惠太夫

国立大劇場 「市川亀治郎の会」

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こんにちは。くにえです。

 

いや~、毎日暑いですね。

 

こんな時期には海やプールへ行きたいですね~。

 

でもくにえは仕事をしてます(汗)

 

前回にもチラッとお知らせしましたが、今月18日(水)~22日(日)に三宅坂は国立大劇場で

市川亀治郎丈の会があり、くにえも末席に加えていただくこととなりました。

 

2010_8_15_kamejiro_jo.jpg

演目は義経千本桜の内「吉野山」です。

 

これほどの人気の「吉野山」を今度このブログで特集してほしいというご意見をいただきました。

ありがとうございます!

及ばずながら近々記事を載せたいと思いますのでしばしお待ちを(笑)

 

清元 國惠太夫

八月新橋演舞場「花形歌舞伎」

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こんにちは。くにえです。

 

約1ヶ月半のご無沙汰です。

なんだかんだでバタバタしておりました(←言い訳です(汗))

 

今月新橋演舞場で弟一部「義経千本桜」・二幕目「吉野山」の末席に出演させていただきます。

2010_8_shinbashi_ennbujyou.jpg

今年の歌舞伎での「吉野山」率はすごいですね!

 

 

今月末に国立大劇場にて市川亀治郎丈の会(次回に詳細を)があるのですが、

こちらも「吉野山」が出るんです。

 

たしかに吉野山は舞台も曲も素晴らしいですもんね~。

2010_8_shinbashi_enbujyo_gakuya.jpg

おまけ。

一昨日の新橋演舞場の楽屋風景です。

 (奥より、清元志寿造氏・清元美三郎氏・清元志一朗氏)

無許可で掲載(笑)

 

清元 國惠太夫