「解説」と一致するもの

「喜撰」歌詞 2024年 三月大歌舞伎

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「喜撰」歌詞 2024年 三月大歌舞伎バージョン

長唄・清元 掛け合い




※長唄=赤


我庵は芝居の辰巳常盤町 しかも浮世を離れ里
世辞で丸めて浮気でこねて 小町桜の眺めに飽かぬ
彼奴にうっかり眉毛を読まれ
法師法師はきつつきの 素見ぞめきで帰らりょうか
わしは瓢箪浮く身じゃけれど
主は鯰のとり所 ぬらりくらりと今日もまた
浮かれ浮かれて来りける 

もしやと御簾を余所ながら 喜撰の花香茶の給仕
波立つ胸を押し撫でて しまりなけれど鉢巻も
幾度しめて水馴れ掉
濡れて見たさと手を取って 小野の夕立縁の時雨
化粧の窓に手を組んで どう見直して胴振るい
今日の御見の初昔 悪性と聞いて此胸が
朧の月や松の影
わたしゃお前の政所 何時か果報も一森と
褒められたさの身の願い
惚れ過ぎる程愚痴な気に
心の底の知れ兼ねて
じれったいでは ないかいな
何故惚れさしたコレ姉ェ
うぬぼれ過ぎた悪洒落な
賤が伏屋に糸取るよりも 主の心がそれそれ取りにくい エェさりとは
機嫌気づまも不断から 酔うたお客の扱いは
見馴れ聞き馴れ目顔で悟る 粋を通した其あとは コレひぞり言
粋と云はれて浮いた同士

ヤレェェ色の世界に出家を遂げェェる
ヤレヤレヤレヤレ細かにちょぼくれ
愚僧が住家は京の辰巳 世を宇治山とや人は云ふなり
ちゃちゃくちゃ茶園の 咄す濃い茶の緑の橋姫
夕べの口舌の袖の移香 花橘の小島が崎より
一散走りに走って戻れば 内の嬶が恪気の角文字
牛も涎を流るる川瀬の 内へ戻って我から焦がる
蛍を集め手管の学問
唐も日本も里の恋路か 山吹流しの水に照り添ふ
朝日のお山に誰でも彼でも 二世の契りは平等院とや
さりとは是はうるせぇこんだに
奇妙頂礼ど如らァァァい
ここに極まる楽しさよ

(坊主大勢出)

住吉の岸辺の茶屋に腰打ちかけて ヨイヤサ コレハイナ
松でェ釣ろやれェェェ蛤ィを 逢ふて嬉しきヤンレ夏の月
ヤットコセ ヨイヤナ アリャリャ これわいなぁ このなんでもせえ

難波江の片葉の芦の結ぼれかかり ヨイヤサ コレワイナ
解けてェほぐれてェェェ逢ふことォも
待つに甲斐あるヤンレ夏の雨
ヤットコセ ヨイヤナ アリャリャ これわいなぁ このなんでもせえ

姉さんおん所かえ 島田金谷は川の間 旅籠はいつもお定まり
お泊りならば泊らんせ お風呂もどんどん沸いている
障子もこの頃張替えた 畳もこの頃かえてある
お寝間のお伽も負けにして
草鞋の紐に仇どけの 結んだ縁の一夜妻
あんまり憎うも あるまいか
てもそうだろ そうだろ そうであろ
住吉様の岸の姫松 めでたさよ
いさめの御祈祷 清めの御祈祷 天下泰平国土安穏 目出度さよ
来世は生を黒牡丹 己のが庵 へ帰り行く 我が里さしてぞ



2024.2.29 現在

2024.3.3 修正

喜撰の解説はこちら
國惠太夫 Website「喜撰」解説

「吉野山」歌詞 2024年 二月御園座大歌舞伎

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「吉野山」歌詞

二月御園座大歌舞伎~十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台~バージョン

※赤=竹本連中

恋と忠義はいずれが重い 掛けて思いは計りなや
静に忍ぶ旅立ちや

馴れぬ茂みのまがい道 弓手(ゆんで)も馬手(めて)も若草を
分けつつ行けば あさる雉子(きぎす)のぱっとたっては
ほろろ けんけん ほろろうつ
なれは子ゆえに身を焦がす 我は恋路に迷う身の
ああ羨まし 妬ましや

谷の鶯 初音のつづみ はつねの鼓
調あやなす音に連れて つれて真似草 音に連れて
遅ればせなる忠信が 吾妻からげの旅姿
背に風呂敷 しかと背負たらおうて 野道あぜ道ゆらりゆらり
軽いとりなりいそいそと 目立たぬように道隔て

静 「おぉ忠信殿 待ちかねましたわいな」
忠信「これはこれは静様 女中の足と侮って思わぬ遅参 まっぴら御免くださりましょう」
静 「ここは名に負う吉野山 四方の梢もいろいろに」
忠信「春立つと 云うばかりにや三吉野の」
静 「山も霞みて」
忠信「今朝は」
両人「見ゆらん」

見渡せば 四方の梢もほころびて
梅が枝唄う歌姫の 里の男子が声々に
我が夫が天井ぬけて据える 昼の枕はつがもなや
可笑し烏の一節に

弥生は雛の妹背中 女雛男雛と並べておいて
眺めに飽かぬ三日月の 宵に寝よとは きぬぎぬに
急かれまいぞと恋の欲 桜は酒が過ぎたやら
桃にひぞりて後ろ向き 羨ましうは ないかいな

忠信「せめては憂さを 幸い 幸い」

姓名添えて賜わりし 御着せ長を取り出だし
君と敬い奉る しずかは鼓を御顔と よそえて上に置きの石
人こそ知らね西国へ 御下向の御海上 波風荒く御船を
住吉浦に吹き上げられ それより吉野にまします由
やがてぞ参り候らはんと 互いに形見を取り納め
実にこの鎧を賜わっしも 兄継信が忠勤なり

静 「なに継信が 忠勤とや」

誠にそれよ 来し方を

思いぞ出る壇ノ浦の

忠信「海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」

源氏の強者 あら物々しやと夕日影 長刀引きそばめ
何某は平家の侍 悪七兵衛景清と名乗りかけ
薙ぎ立て薙ぎ立て 薙ぎ立つれば
花に嵐のちりちりぱっと 木の葉武者
言い甲斐なしとや方々よ 三保谷の四郎これにありと
渚にちょうと打ってかかる 刀を払ろう長刀の えなれぬ振る舞い いづれとも
勝り劣りは波の音 打ち合う太刀の鍔元(つばもと)より 折れて引く潮 帰る雁
勝負の花と見すつるかと 長刀小脇にかい込んで 兜の錣(しころ)を引っ掴み
後へ引く足 たじたじたじ 向こうへ行く足 よろよろよろ
むんずと錣をひっ切って 双方尻江に どっかと座す
腕の強さと言いければ
首の骨こそ強けれと
ムフフフフフ ダハハハハハ
笑いし後は入り乱れ 手しげき働き兄継信
君の御馬の矢面に 駒を駆け据え立ち塞がる

静 「おぉ聞き及ぶその時に 平家の方にも 名高き強弓」

能登守

静 「教経と」

名乗りも和えず よっ引いて 放つ矢先は恨めしや
兄継信が胸板に たまりもあえず真っ逆さま 敢え無き最後は武士の
忠臣義士の名を残す 思い出ずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井筒

掛かるところへ早見の藤太 家来引き連れ立ち至る

※早見の藤太・家来 セリフ (舞台でお楽しみに!)※

禰宜が鼓に鈴振る手元 ちょっと鳥居を ありゃありゃしてこい
飛び越え狐 愛嬌も 宇賀の御霊は玉姫稲荷
妻恋 染めて嫁入りして
そこらでしめたぞ天日照り
堅い契りのお岩様 四ツ谷でお顔を三巡りに
好いたらしいと思うたる 縁に引かれて車咲き
ちょっとおさえた強力の
袖すり抜けてどっこいな
えぇもうしつこい そこいらで
翁稲荷か とうとうたらり 喜びありや烏森

いつか御身も伸びやかに 春の柳生の いと長く
枝を連ぬる御契り などかは朽ちしかるべきと
互いに諫め いさめられ 急ぐとすれど はかどらぬ 芦原峠 鴻の里
雲と見紛う三吉野の
麓の里にぞ

2024.1.29 現在


吉野山の解説はこちら

國惠太夫Web site 「吉野山」解説

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「流星」歌詞 〜2024年 新春浅草歌舞伎〜

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「流星」歌詞 〜2024年 新春浅草歌舞伎〜 浅草公会堂バージョン

ご観劇のお供に是非ご活用下さいませ!



清元「流星」

父雷 母雷 子雷 婆雷

それ銀漢と唐唄に 連ぬる五言七言の
かたい言葉を柔らぐる 深くも願ごう女夫星
折からここへ流星が

丸い世界へ生まれしからは 恋をするのが特鼻褌(とくびこん)
寝るに手まわし宵から裸 ぞっと夜風にハッハッハッ ハックサメ
彼奴が噂をしているか エエ畜生めと夕闇を 足も空にて駆け来たり

流星「ご注進ご注進」

さらば候そろそろと 三つ合わせてさん候

およそ夜這いと化け物は 夜中のものに宵の内
とろとろやろうと思いのほか 一つ長屋の雷が 夫婦喧嘩の乱騒ぎ

聞けばこの夏流行の 端唄の師匠へ落っこちて
気は失なわねど肝心の 雲を失い居候

聞く女房は呆れ果て マッコレそんなのろけた鳴りようでは 
恐がるお臍で茶を沸かそう 鳴るなら大きな声をして 
ゴロゴロゴロ ピカピカピカ ゴロゴロゴロ ピカピカピカ
ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロゴロゴロゴロ ゴロゴロ・・・・・ピシャリっと
鳴らねばさまを付けられぬ と言えば
亭主は腹を立て それは昔の雷だ 
粋に端唄で鳴るのが当世 それがいやなら
父雷「出て行きゃれ」

母雷「なに出て行けとえぇ」
父雷「オオサッ 角を見るのも アァ厭になった」

我がものと思えば軽ろし傘の雪

父雷「我がもの故に仕方なく 我慢をすりゃあつけ上がり 亭主を尻に引きずり女房 サア恋の重荷の子供を連れ きりきりと出て行きゃれ」
母雷「いえいえここは私の家」

お前は婿の小糠雨 傘一本もない身の上
汝そうぬかせば了簡がと 打ってかかるを
ゴロゴロゴロ ゴロゴロゴロと鳴る音に

傍に寝ていた小雷 コヨコヨコヨと起き上がり 

子雷「コレ父さん可哀想に母さんを」


背負った太鼓じゃあるまいし 何でそのようにたたくのじゃ

堪忍してとコヨコヨコヨ 

かかる騒ぎに隣りから 婆雷が止めに来て 

婆雷「マママこれ お前方はどうしたのじゃ 夫婦喧嘩は雷獣も 喰わぬに野暮を夕立は どんな太鼓の八つ当たり 出て行との一声は」

月が鳴いたか時鳥

アレおなるさんもくよくよと 
愚痴なようだが コレマ泣いているわいな
端唄に免じて五郎介どの 了簡見してとゴロゴロゴロ
いえいえ私しゃ 打たれたからは 了簡ならぬとゴロゴロゴロ
ならずば汝とゴロゴロゴロ
父さん待ってコヨコヨコヨ
これはしたりとゴロゴロゴロ
止めるはずみに雷婆 ウーンとばかりに倒るれば

こりゃころりではあるまいか
医者よ針医と立ち騒げば
入れ歯の牙を飲み込んで 胸につかえて苦しやと

言うにおかしく仲直り 夫婦喧嘩のあらましは
かくの通りと手ぬぐいで 汗を拭うて至りける

流星「ありゃもう夜明け お二人様にはお床入り ハヤおさらば」

虚空はるか

西へ飛ぼうか東へ飛ぼか どちへ行こうぞ 思案橋

2024.1.1 現在


流星の解説はこちら

國惠太夫Web site 「流星」解説





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2023年3月1日放送 NHK FMラジオ 邦楽のひととき「吉野山」

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こんにちは。くにえです。

本日、NHKFMラジオ「邦楽のひととき」の収録をして参りました。




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NHK FMラジオ「邦楽のひととき」
「吉野山(カット部分有り)」


放送日
2023年3月1日(水) 午前11時20分~ 午前11時50分
(再放送無し)


演奏
浄瑠璃
清元 清榮太夫  清元 一太夫  清元 國惠太夫
三味線
清元 菊輔  清元 美三郎  清元 美十郎(上)



曲の解説&歌詞を掲載いたします。
放送をお聴きの際はご活用ください!数倍楽しんで頂けると思います(^^)


「吉野山」
(國惠太夫HP「清元曲辞典」に飛びます。)




今回の放送は時間の関係でカット部分がございます。

放送用カットバージョンの歌詞を下記に掲載させていただきます。


「吉野山」(放送バージョン)

谷の鶯 初音のつづみ はつねの鼓
調あやなす音に連れて つれて真似草 音に連れて
遅ればせなる忠信が 吾妻からげの旅姿
背に風呂敷 しかと背負たらおうて 野道あぜ道ゆらりゆらり
軽いとりなりいそいそと 目立たぬように道隔て

静 「おぉ忠信殿 待ちかねましたわいな」
忠信「これはこれは静様 女中の足と侮って思わぬ遅参 まっぴら御免くださりましょう」
静 「ここは名に負う吉野山 四方の梢もいろいろに」
忠信「春立つと 云うばかりにや三吉野の」
静 「山も霞みて」
忠信「今朝は」
両人「見ゆらん」

弥生は雛の妹背中 女雛男雛と並べておいて
眺めに飽かぬ三日月の 宵に寝よとは きぬぎぬに
急かれまいぞと恋の欲 桜は酒が過ぎたやら
桃にひぞりて後ろ向き 羨ましうは ないかいな

忠信「せめては憂さを 幸い 幸い」

姓名添えて賜わりし 御着せ長を取り出だし
君と敬い奉る しずかは鼓を御顔と よそえて上に置きの石
人こそ知らね西国へ 御下向の御海上 波風荒く御船を
住吉浦に吹き上げられ それより吉野にまします由
やがてぞ参り候らはんと 互いに形見を取り納め
実にこの鎧を賜わっしも 兄接信が忠勤なり

静 「なに継信が 忠勤とや」

誠にそれよ 来し方を
思いぞ出る壇ノ浦の

忠信「海に兵船 平家の赤旗 陸(くが)に白旗」

源氏の強者 あら物々しやと夕日影 長刀引きそばめ
何某は平家の侍 悪七兵衛景清と名乗りかけ
薙ぎ立て薙ぎ立て 薙ぎ立つれば
花に嵐のちりちりぱっと 木の葉武者
言い甲斐なしとや方々よ 三保谷の四郎これにありと
渚にちょうと打ってかかる 刀を払ろう長刀の えなれぬ振る舞い いづれとも
勝り劣りは波の音 打ち合う太刀の鍔元(つばもと)より 折れて引く潮 帰る雁
勝負の花と見すつるかと 長刀小脇にかい込んで 兜の錣(しころ)を引っ掴み
後へ引く足 たじたじたじ 向こうへ行く足 よろよろよろ
むんずと錣をひっ切って 双方尻江に どっかと座す
腕の強さと言いければ 首の骨こそ強けれと
ムフフフフフ ダハハハハハ
笑いし後は入り乱れ 手しげき働き兄継信
君の御馬の矢面に 駒を駆け据え立ち塞がる

静 「おぉ聞き及ぶその時に 平家の方にも 名高き強弓」

能登守

静 「教経と」

名乗りも和えず よっ引いて 放つ矢先は恨めしや
兄継信が胸板に たまりもあえず真っ逆さま 敢え無き最後は武士の
忠臣義士の名を残す 思い出ずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井筒

いつか御身も伸びやかに 春の柳生の いと長く
枝を連ぬる御契り などかは朽ちしかるべきと
互いに諫め いさめられ 急ぐとすれど はかどらぬ 芦原峠 鴻の里
雲と見紛う三吉野の 麓の里にぞ 着きにける








宜しくお願い致します!









清元 國惠太夫

2023年2月8日放送 NHK FMラジオ 邦楽のひととき「権八上(権上)

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こんにちは。くにえです。

本日NHKFMラジオを収録して参りました!



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NHK FMラジオ「邦楽のひととき」
「権八上(権上)」


放送日
2023年2月8日(水) 午前11時20分~ 午前11時50分
2023年2月9日(木) 午前5時20分~ 午前5時50分(再放送)


演奏
浄瑠璃
清元 志寿子太夫  清元 一太夫  清元 國惠太夫  清元 成美太夫
三味線
清元 志寿造  清元 美三郎  清元 美一郎(上)


曲の解説&歌詞を掲載いたします。
放送をお聴きの際はご活用ください!数倍楽しんで頂けると思います(^^)


「権八上(権上)」
(國惠太夫HP「清元曲辞典」に飛びます。)




宜しくお願い致します!









清元 國惠太夫