「市川海老蔵」と一致するもの

落人 プチ解説&歌詞

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こんにちは。くにえです。
 
今回は清元「落人」の解説&歌詞を書きたいと思います。
 
 
 
 

 

 

この記事は7~8分ででお読みいただけます。

 

 

 

落人(おちうど)

 

 

解 説

 

 

本名題を「道行旅路花聟(みちゆきたびじのはなむこ)」といいます。
1883年(天保4年)3月に江戸河原崎座で初演。
 
「仮名手本忠臣蔵」の大ヒットにより場面を「表裏」で増やし、この落人は三段目の裏と称して「早野勘平」と「腰元お軽」の道行物として上演されました。
 
作詞は三升屋二三治、作曲は初世清元榮次郎(清元斎兵衛、二世清元延寿太夫との説も有り)。

初演時の配役は勘平を七世市川海老蔵、お軽を三世尾上菊五郎、鷺坂伴内を尾上梅五郎です。
 
 
 
勘平とお軽は罪人となって共に落ち延びて行かねばならなくなりました。

塩谷判官(浅野内匠頭)の登城の供として選ばれた勘平でしたが、恋仲であるお軽が逢いに来てしまいます。
途中鷺坂伴内に絡まれてしまいますが何とか切り抜けます。
しかし時間を要してしまい、勘平はお供に遅れてしまうのでした。
 
その塩谷判官は高師直(吉良上野介)を殿中で斬りつけるという事件が発生してしまいます。
 
自らの色事で主君の大切な場に居合わせる事が出来なかったら勘平は大いに悔やみ、自害を試みます。

そこでお軽が説得に努め、一先ず自分の里へと「落ち人」となって道行をする事になるのでした。
 


場面は道行の途中、戸塚の山中です。
 
落ち延びる二人は人目を忍ぶために夜に歩き続けます。
途中松かげで休憩をしながら自分たちの馴れ初めや勘平の自害にはやる行動をお軽は諫めます。

 

 

そこへ江戸よりの追手「鷺坂伴内」らと遭遇し戦いになります。

 

この戦いの部分は「鳥ずくし」の掛け言葉と軽快なリズムが聴きどころです。
(※下記の歌詞に掛かっている言葉も色を変えて掲載しますのでご参照ください!)
 
無事伴内らを追い返し、二人は旅を急ぐのでした。
 

 

 

ちなみに舞台では美しく観えるようにライトを煌々とつけておりますが、話の筋では夜中から明け方にかけての時間帯です(笑)
 
 
 
 
 
 
 

歌 詞

 
 
 
 

落人も見るかや野辺に若草の すすき尾花はなけれども
世を忍び路の旅衣 着つつ馴れにし振袖も
どこやら知れる人目をば かくせど色香梅が花
散りてもあとの花のなか いつか故郷へ帰る雁
まだはだ寒き春風に 柳の都 後に見て
気も戸塚はと吉田ばし 墨絵の筆に夜の富士
よそめにそれと影くらき 鳥のねぐらを辿り来る

 
勘平「鎌倉を出でてようようと ここは戸塚の山中 石高道で足は痛みはせぬかや」
お軽「何の まあそれよりは まだ行先が思はれて」
勘平「そうであろう 昼は人目をはばかる故」
お軽「幸い ここの松かげで」
勘平「暫しがうちの足休め」
お軽「ほんにそれが よかろうわいなぁ」
 
 
何もわけ無き うさはらし 憂きが中にも旅の空
初ほととぎす明近く
 
色で逢いしも昨日今日 かたい屋敷の御奉公
あの奥様のお使いが 二人がえんやの御家来で
その悪縁か白猿に よう似た顔の錦絵の
こんな縁しが唐紙の 鴛鴦(おし)の番(つがい)の楽しみに
 
泊り泊りの旅籠やで ほんの旅寝の仮枕
嬉しい仲じゃないかいな 空定めなき花曇り
暗きこの身のくり言は 恋に心を奪はれて
お家の大事と聞いたとき 重きこの身の罪科と
かこち涙に目もうるむ
 
 
勘平「よくよく思へば後先のわきまえもなく ここ迄は来たれども 主君の大事をよそにして
   この勘平はと ても生きては居られぬ身の上 其方は言はば女子の事 
   死後の弔ひ頼むぞや お軽さらばじゃ」
お軽「アレまたその様な事言はしゃんすか 私故にお前の不忠 それがすまぬと死なしゃんしたら
   わたしも死ぬるその時は アレ二人心中じゃと 誰がお前を褒めますぞぇ
   サぁここの道理を聞き分て ひとまず私が在所へ来て下さんせ 父さんも母さんも
   それはそれは頼もしいお方 もうこうなったが 因果じゃと諦めて
   女房の言ふ事も ちっとは聞いて呉れたがよいわいなぁ」
 
 
それ其時の うろたえ者には誰がした みんなわたしがこころから
死ぬるその身を長らえて 思ひ直して親里へ 連れて夫婦が身を忍び
野暮な田舎の暮しには 機も織りそろ賃仕事 常の女子と言はれても 取乱したる真実が
やがて届いて山崎の ほんに私がある故に 今のお前の憂き難儀 堪忍してとばかりにて
人目なければ寄り添うて 言葉に色をや含むらん
 
 
勘平「成程聞き届けた それ程迄に思うて呉れるそちが親切 ひとまず立ち越え
   時節を待ってお詫びせん」
お軽「そんなら聞き届けて下さんすか」
勘平「さぁ仕度しやれ」
お軽「アイ」
 
 
身ごしらえするその所へ
 
 
伴内「見付けた おぉ お軽も居るな やーやー勘平
   うぬが主人の塩谷判官高貞と おらが旦那の師直公と
   何か殿中でべっちゃくちゃ くっちゃくちゃと話合するその中に
   ちいちゃ刀をちょいと抜いてちょいと斬った科によって
   屋敷は閉門網乗物にて エッサッサ エッサッサ エッサエッサエッサッサと
   ぼっ帰してしもうた
 
   さあこれ烏(からす)鶉翻(うずらばん)
   さあこれからは うぬが番
   お鴨をこっちへ鳩鷺(はとさぎ)葭切(よしきり)
   お軽(かる鴨)をこっちへ 渡さば良し
   ひわだ雁(がん)だと孔雀が最後
   嫌だ何だとぬかすが最後
   とっ捕めっちゃ ひっ捕めっちゃ
   やりゃあしょねえが返答は さっ さっ さっさっ さささささ・・・
   勘平返事は丹頂丹頂(たんちょうたんちょう)」
        何と何と
 
 
丹頂丹頂と呼ばわったり
勘平ふふっと吹きいだし
 
 
勘平「よい所へ鷺坂伴内 おのれ一羽で食い足らねど 勘平が腕の細ねぶか
   料理あんばい 喰うてみよえぇ」
 
 
大手を拡げて立ったりける
 
 
伴内「えぇ 七面鳥な もちで捕れ」
      しち面倒くさい
花四天「どっこい」
 
 
桜さくらという名に惚れて どっこいやらぬはそりゃ何故に
所詮お手には入らぬが花よ そりゃこそ見たばかり
それでは色にはならぬぞへ 桃か桃かと色香に惚れて
どっこいやらぬはそりゃ何故に 所詮まままにはならぬが風よ
そりゃこそ他愛ない それでは色にはならぬぞ へ
 
 
勘平「さぁこうなったらこっちのもの 耳から斬ろか 鼻からそごうか
   えぇもう一層の事に」
お軽「あ もしっ そいつ殺さばお詫びの邪魔 もうよいわいなぁ」
伴内「へへ もうよいわいなぁ」
 
 
口の減らない鷺坂は 腰を抱えてコソコソと 命からがら逃げてゆく
 
 
勘平「彼を殺さば 不忠の上に重なる罪科 
   最早明け方」
お軽「アレ山の端の」
勘平「東がしらむ」
二人「横雲に」
 
 
塒をはなれ鳴くからす 可愛い可愛いの女夫づれ
先は急げど心は後へ お家の安否如何ぞと
案じゆくこそ道理なれ
 
 
 
 
 

参考資料
清元全集 清元集 清元五十番

 

 

 

 

YouTubeチャンネル「清元pockets」にも落人のお手軽動画をアップしております!

youtube_kiyomotopockets_0chiudo.jpg

(画像をクリックするとYouTube「落人」に飛びます)

 

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清元 國惠太夫

3月 市川海老蔵八千代座特別公演

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こんにちは。くにえです。

 

3月26日(金)~29日(月)に熊本県山鹿市にあります八千代座にて「市川海老蔵八千代座特別公演~市川ぼたん襲名披露」が開催されます。

 

 

2021.3.26~29_yachiyoza1.jpg

 (クリックすると大きく表示されます)

 

2021.3.26~29_yachiyoza2.jpg

  (クリックすると大きく表示されます)

 

八千代座HPにも詳しく掲載されております。

くにえは 三、「玉兎」に出演させていただきます!

 

 

日程は

 

3月26日             16:00開演

3月27日   12:00開演   16:00開演

3月28日   12:00開演   16:00開演

3月29日             16:00開演

 

以上、全6公演です。

 

 

過去に國惠太夫blogにて「玉兎」の解説を書いております。

よろしければご覧ください(^O^)

 

國惠太夫blog 清元「玉兎」について

 

八千代座へは今度で2度目。

2014年7月に初めて伺わせていただきました。

これも貼っておきます( ´艸`)

 

國惠太夫blog 熊本県山鹿市 八千代座 会場内

歴史があり、趣がありの一度は行ってみたい劇場の代表格ではないでしょうか?!

 

このようなご時世です。ソーシャルディスタンス、手洗いうがいをされた上で、公演中は是非楽しんで頂けたらと一隅より願っております(。-人-。) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清元 國惠太夫

博多座「市川海老蔵特別公演」千穐楽を無事迎えました!

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こんにちは。くにえです。
 
本日、博多座「市川海老蔵特別公演」が無事千穐楽を迎えました!
 
11日より15日間、昼夜全25回の興行はほぼ満席でございました\(^o^)/
 
夜の部には質問コーナーもあり、質問内容の冒頭「〇〇から来ました」と遠方からわざわざご観劇下さるお客様もたくさんいらっしゃいました^_^
 
 
ありがとうございました!
 
 
 

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大入りを頂戴致しました! 
 


 
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昼の部「流星」です。舞台稽古の際に撮りました。
 
 
 
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こちらは夜の部「お祭り」。同じく舞台稽古時に撮影しました。
 
 
 

今回予定が合わずお越しになられなかった方、またこのご時世ですので見送られた方。
 
お越し頂いた方は思い出しながら、お越しになれなかったお客様は「流星」「お祭り」の画像で雰囲気を楽しんで頂けましたら幸いでございます。
 
 
来月は京都南座「吉例顔見世興行」に出演させて頂く予定でございます。
 
 
 
私はこれからもコロナ禍に負けず、益々励んで行きたいと思っております。
 
どうか今までと変わらぬお力添え、ご声援賜りますよう宜しくお願い致しますm(_ _)m
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
清元 國惠太夫

宗像大社へ参拝して参りました!

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こんにちは。くにえです。

 
現在「市川海老蔵特別公演」出演の為に博多に引き続きおります。
(市川海老蔵特別公演の記事はこちらです。)
 
 
本日は昼の部のみの公演でしたので宗像大社へ参拝して参りました。
 
 
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今回は辺津宮のみ行って参りました。
(宗像大社のHPはこちらです。)

 
宗像大社は、沖ノ島「沖津宮・おきつぐう」筑前大島「中津宮・なかつぐう」宗像市田島「辺津宮・へつぐう」の3つから成り、日本神話にまで遡るほど大変歴史のある場所だそうです。
 

出土した宝物等の国宝認定は日本一!
2017年には世界遺産にも指定されております。
 

 
時代と共に戦乱に巻き込まれ、何度も再建の後に現在の姿になったそうです。
 

 
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「健康守」です。
こんなご時世です。
とにかくも健康である事、また一早いコロナ禍の収束をお祈りして参りました(>人<)
 
 
 
 
 
 
Twitterもやっております。

https://twitter.com/kuniedayu
 
 
 
清元 國惠太夫

11月博多座 夜の部「お祭り」歌詞&プチ解説

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こんにちは。くにえです。

 

11月博多座「市川海老蔵特別公演」夜の部「お祭り」の歌詞&プチ解説を書きました。

 

※昼の部「流星」解説はこちらです。

※市川海老蔵公演の記事はこちらです。 

 

浄瑠璃を耳だけでとらえるのはなかなか難しい箇所もございます。

 

 

4~5分で読んでいただけると思います。

歌詞をサクッとお読みいただくだけで舞台をより一層楽しんで頂けると思います!

 

是非ともこちらをご活用くださいませ\( 'ω')/

 

 

「お祭り」

 

歌 詞

 

申酉の 花も盛りの暑さにも 負けぬ気性と見かけから

 

粋な稲荷を 思えばよしや ちょっと格子へ呼子鳥

想いくらべん恋の仲 勝り劣らん花の意地

 

常から主の仇な気を 

知っていながら女房になって 見たいの欲が出て

神や仏を頼まずに 義理もヘチマの革羽織

親分さんのお世話にて 渡りも付けてこれからは

世間構わず 人さんの前 はばからず引き寄せて

 

森の子がらす我はまた 尾羽をからずの羽根さえも

なぞとアイツが得て物の ここが木遣りの家の株

 

千代に八千代の御贔屓も 変わらぬ色は紫の

ゆかし面影 江戸桜 負けぬ気性は荒磯の

水を浴びたる飾り海老 

エンヤ エンヤこれは あれはさのえ

 

言わずと知れしお祭りの 形(なり)もすっかり そこら中

行き届かせてコブもなく ここでは一つ あそこでは

かしら頭と立てられて ご機嫌じゃのと町内の

家主方も夕日かげ 風もうれしく戻り道

 

じたい去年の山帰り 言うは今更 過ぎし秋

初の一座の連れのうち 面白そうな口合いに

好いたが因果 好かれたも 心に二つはないわいな

その時あいつが口癖に 諦めて何のかのと ありゃ只の人

赤凡夫の我々なりゃこそ 滅法界にまよいやす

お手が鳴るから銚子の変わり目と上がってみたれば

お客が三人 庄屋ぽんぽん 狐拳

とぼけた色では ないかいな

 

引けや引け引け 引くものにとりては

花に霞よ 子(ね)の日の小松

初回の盃 馴染みの煙草盆 お洒落娘の袖たもと 下場の履物 

内裏女郎の召し物 座頭のまわし菖蒲に大根 御神木のしめ縄

 

実にも上なき市川の 栄え三枡の寿の字海老 目出度かりける

 

 

 

11月4日改訂

11月9日改訂

 

(演出の都合上、変更になる場合があります。)

 

 

解 説

清元で通常お祭りというと「申酉」という曲をさすことが多いですが、今回の博多座「お祭り」は今月公演のための特別なメドレーになっております。

 

「申酉」「神田祭」と清元の名作も箇所箇所に入っており、「粋な稲荷」や市川海老蔵丈の屋号「成田屋」「十一代」「海老」の歌詞も散りばめられ華やかな舞台を演出いたします!

(((o(*゚▽゚*)o)))

 

2015.2_kabukiza_kandamaturi.jpg

写真は2015年2月歌舞伎座「神田祭」の写真です。

 

御祭礼の提灯が所々に飾ってあり、とても華やかな雰囲気。

このような場面を想像していただくと良いと思います( ´艸`)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清元 國惠太夫