桜でやすな~(^w^)

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こんにちは。くにえです。

 

東京では桜が散り始め、葉がうっすらと枝を覆うようになってきました。

北関東方面ではまだまだ見ごろなのではないでしょうか?!


 

今日はこの時期にぴったりの舞台セットを駆使する清元「保名(やすな)」を
ご紹介したいと思います。

 

 

yasuna_kiyomoto_kogakouichi.jpg                                                                                                                     作・古賀宏一


上記の画像は保名の舞台美術の原画です。
父が保名を踊る際に故・古賀宏一先生に描いていただいたそうです。

桜や菜の花畑の風景に蝶が舞い遊ぶ春の一幕です。


この「保名」は本名題を深山櫻及兼樹振(みやまのはなとどかぬえだぶり)と言います。
竹田出雲・作「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」の
「小袖物狂いの段(こそでものぐるいのだん)」を1818年、清元に書き直し、
江戸都座で初演された曲です。

 

主人公は安陪(阿部)保名(あべのやすな)と言います。


保名の想い人である「榊の前」が、父の派閥闘争に巻き込まれ自殺してしまいます。
榊の前の小袖を持ち、保名は狂乱して亡き彼女の姿を探し続けるという内容です。

 

後に歌詞を載せますが、是非読んでみて下さい!
どの時代でも想う人に対する気持ちは同じなんだと共感できると思います!!

 


yasuna_tomozou.jpg

 

写真は保名です。

肩に榊の前の小袖を掛けています。
見ずらいかもしれませんが、頭に紫色の鉢巻をしています。

 

 

因みに、この鉢巻の結び目の場所には意味があります。

顔の正面に見て左側に結ぶと病気・病人を差し、
写真のように向かって右に結ぶと狂人・物狂いを指します。

 

 

 

深山櫻及兼樹振 ~保名~


 

作・篠田金治 作曲・清澤萬吉(のち初世清元斎兵衛)

 

恋よ恋 われ中空になすな恋 恋風が来ては袂にかいもつれ
思う中をば吹き分くる 花に嵐の狂いてし 心そぞろにいづくとも
道行く人に言問えど 岩堰く(いわせく)水とわが胸と くだけて落つる涙には
かたしく袖の片思い 姿もいつか乱れ髪 誰が取り上げて言う事も
菜種の畑に狂う蝶 つばさ交わして羨まし 野辺の陽炎はる草を
素襖袴(すおうばかま)に踏みしだき 狂い狂いて来たりける

「 ンーなんじゃ 恋人がそこへ居た ンーどれどれどれ・・・エエーまた嘘言うか 訳もない事言うはヤイ」

あれ あれを今宮の 来山翁が筆ずさみ 土人形の色むすめ
高嶺の花や折ることも 泣いた顔せず腹立てず 悋気もせねば大人しう
あら うつつなの 妹背中 主は忘れてござんせう
しかも去年のさくら時 植えて初日の初会から 逢うての後は一日も
便り聞かねば気もすまず うつらうつらと夜を明かし 昼寝ぬほどに思いつめ
たまに逢う夜の嬉しさに 酒ごと止めて語る夜は いつよりも つい明けやすく
去のう去なさぬ口説さへ 月夜鴉(つきよがらす)に騙されて いっそ流して居続けは
日の出るまでも それなりに 寝ようとすれど寝入られねば 寝ぬを恨みの旅の空
夜さの泊まりはどこが泊まりぞ 草を敷き寝の肘枕 肘枕 
一人明かすぞ悲しけれ悲しけれ 葉越しの葉越しの幕の内
昔恋しき俤(おもかげ)や移り香や その俤に露ばかり 似た人あらば教えてと
振りの小袖を身に添えて 狂い乱れて伏し沈む