「流星」歌詞 ~歌舞伎町歌舞伎~シアターミラノ座バージョン

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「流星」歌詞~歌舞伎町歌舞伎~
     シアターミラノ座バージョン

ご観劇のお供に是非ご活用下さいませ!


※流星は一人の立ち方が「父雷」「母雷」「子雷」「婆雷」を瞬時で踊り分けます。今回は役柄によって歌詞の色を変えてみました。

父雷」「母雷」「子雷」「婆雷





「流星」

それ銀漢と唐詞に つらぬる五言七言の
硬い言葉を柔らぐる 三十一文字の大和歌
天の河原にかわらじと 深くも願う夫婦星
その逢瀬さえ一年(ひととせ)に 今宵一夜の契り故
まだ明星の影薄き 暮れぬうちより織女が
待てば待たるる牽牛も 牛の歩みのもどかしく
心は先へ行き合いの 八重の雲路を辿り来る
それと見るよりかさ鷺の 飛立つ想い押し鎮め

織女「おなつかしや我がつま様 おかわりとてもあらざりしか」
牽牛「おもえば年にただ一度 この七夕に逢うのみにて」
織女「かりの便りもなき身の上」
牽牛「なつかしきは いかばかり」
織女「とりわけ去年は雨降りて」
牽牛「そもじに逢うも三年越し」

しかも続きし長雨に 八十の河原に水増して
妻こし船に棹させど とわたるよすが明け近く
長鳴き鳥に短夜を 思えば牛と引く綱も
あとへ引かるる後朝(きぬぎぬ)に
つれなき別れも昨日と過ぎ
今日は雨気もなか空に 心も晴れて雲の帯び
解けて寝る夜の嬉しさと 寄り添う折から闇雲に

丸い世界へ生まれしからは
恋をするのが特鼻褌(とくびこん)
寝るに手まわし宵から裸
ぞっと夜風にハッハッハッ ハックサメ 
彼奴が噂をしているか エエ畜生めと夕闇を
足も空にて駆け来たり

流星「ご注進 ご注進」
牽牛「誰かと思えば そちゃ流星」
織女「注進とは何事なるか」
牽牛「様子はいかに」
流星「ハハーッ」

さらば候そろそろと 三つ合わせてさん候

およそ夜這いと化け物は 夜中のものに宵の内 
とろとろやろうと思いのほか 一つ長屋の雷が
夫婦喧嘩の乱騒ぎ 
聞けばこの夏流行の 端唄の師匠へ落っこちて
気は失なわねど肝心の 雲を失い居候

聞く女房は呆れ果て
マッコレそんなのろけた鳴りようでは 

恐がるお臍で茶を沸かそう 鳴るなら大きな声をして 
ゴロゴロゴロ ピカピカピカ ゴロゴロゴロ ピカピカピカ
ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロゴロゴロゴロ
ゴロゴロ・・・・・ピシャリっと

鳴らねばさまを付けられぬ と言えば
亭主は腹を立て それは昔の雷だ 
大きな声で鳴らずとも 粋に端唄で鳴るのが当世
それがいやなら

父雷「出て行きゃれ」 

母雷「なに出て行けとのォ」
父雷「オオサッ 角を見るのも アァ厭になった」

我がものと思えば軽ろし傘の雪

我がもの故に仕方なく 我慢をすりゃあつけ上がり 
亭主を尻に引きずり女房 サア恋の重荷の子供を連れ
きりきりと出て行きゃれ
 

いえいえここは私の家 
お前は婿の小糠雨 傘一本もない身の上 
汝そうぬかせば了簡がと 打ってかかるを
ゴロゴロゴロ
ゴロゴロゴロと鳴る音に

傍に寝ていた小雷 コヨコヨコヨと起き上がり 
コレ父さん可哀想に母さんを
背負った太鼓じゃあるまいし
何でそのようにたたくのじゃ

堪忍してとコヨコヨコヨ 

かかる騒ぎに隣りから
婆雷が止めに来て 


婆雷「マママこれ」

お前方はどうしたのじゃ 夫婦喧嘩は雷獣も 

喰わぬに野暮を夕立は どんな太鼓の八つ当たり
出て行との一声は

月が鳴いたか時鳥 いつしか白む短夜に まだ寝もやらぬ手枕や

アレおなるさんもくよくよと 
愚痴なようだが コレマ泣いているわいな 
端唄に免じて五郎介どの 了簡してとゴロゴロゴロ 
いえいえ私しゃ 打たれたからは
了簡ならぬとゴロゴロゴロ
 
ならずば汝とゴロゴロゴロ 
父さん待ってコヨコヨコヨ 
これはしたりとゴロゴロゴロ

止めるはずみに雷婆 ウーンとばかりに倒るれば

こりゃころりではあるまいか
医者よ針医と立ち騒げば 
入れ歯の牙を飲み込んで 胸につかえて苦しやと

言うにおかしく仲直り

どこもかしこも大騒ぎ 名残りを惜しむかこち言
雲に掛け橋 流星は 口舌はささらさらりっと
西へ飛ぼうか 東へ飛ぼか とちらへ行こうぞ思案橋
月の出汐に辺りは黒幕天の川
見えるは二人の鵲(かささぎ)の
雲の谷間の勢ぞろォォォい (清元「船」替え歌)

夫婦喧嘩のあらましは
かくの通りと褌(ふんどし)で 汗を拭うて至りける

流星「ありゃもう夜明け ハヤおさらば」

虚空はるかに





2024.4.29現在




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