名寄せの寿(なよせのことぶき) 作詞 不明 作曲 清元お葉 初演 1871年(明治4年)正月 本名題 豊春名集壽(ゆたかのはるなよせのことぶき) 参考資料 清元集 清元全集 清元五十番 解説 この曲は歳旦浄瑠璃として開曲されたと伝わります。この歳旦浄瑠璃とは正月の祝いに新作で披露された曲のことです。初春から三月の風物を河東節の曲名か歌詞を絡ませた内容になっています。そのため曲名も「名」「寄せ・集」です。引用されている河東節「三番叟」「蓬莱」「千歳の枝」「禿萬歳」「松の内」「七草」「江戸桜(助六)」「夜の編笠」「恋桜(反魂香)」「小袖模様」「汐汲」「清見(八景)」「江の島」「浮ぶ瀬」「常盤の声」など。また「浮無瀬(うかぶせ)」は大阪新清水、京都、東京浅草に出店していた七合五勺の大盃がある有名な料亭でもあります。残念ながら作詞者は伝わっていませんが、これだけの曲目を掛詞にして表現したことからも相当の人物であったと推測されます。 歌詞 初春や四方に目出度き三番叟 福寿ぞろいの蓬莱に千歳の枝のかづしげく 禿万歳 松の内祝ひ初めしを数ふれば はや七草と松ののちやがてうれしき春霞 富士と筑波の江戸桜夜の編笠かざしきて 花ある里をたづね尋ねてここに思ひを十寸見桜や恋桜 口説の鳥の憎らしく帯ひきとめて貸し小袖 小袖模様の貝づくし汐汲みあげし雛の磯 清見江の島うらうらと仇なこころに浮む瀬や 誰が来てかけし駕籠ぶとんそれ憎からぬしかた松 常磐の声の楽しさにまつの栄えを祝しける 松の栄えぞ祝しける 動画