花筐(はながたみ)

作詞

永井素岳

作曲

三世清元斎兵衛

初演

1893年(明治26年)正月

本名題

なし

参考資料

清元全集 清元集 清元五十番

解説

この曲は歳旦浄瑠璃として開曲されたと伝わります。
この歳旦浄瑠璃とは正月の祝いに新作で披露された曲のことです。

花札に描かれる草花や「役」を歌詞全体に取り入れて一年の四季を表現したユニークな内容です。
雅楽を意識した前弾きや、合の手(間奏)では酒に酔ってフラついているイメージを表現したりと面白い曲の構成になっています。

歌詞

東雲に塒(ねぐら)を抜けし初がらす
霞もひくや三本の 根曳の松の野も山も
のどかに笑ふ梅が香や 桜ほのめく愛嬌の
よろしい春もはや過ぎて

藤もかきつもゆかりの色に
皐月の雨の小止みなく またいつあをの約束も
離れぬ中へさし込む月に あかす砧の布ざらし
ひらりひらりと桐一葉

落ちて伏猪の眠りをさます 萩ののぞみし川伝い
しるしの石の道こえて 谷の小菊もなつかしと
一河の流れ盃へ 受けて紅葉の酒のかん
寒気にめげぬ冬牡丹 花の盛りも富貴草
つきぬ楽しみ睦ましき

動画