昨日より京都南座に出演させていただいております。
南座の近況報告は近々アップさせていただきたいと思います!
今回は京都南座・吉例顔見世興行・夜の部の演目「喜撰(きせん)」について簡単に解説させていただきます。
本名題を「六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)」と言います。通称「喜撰」です。
作詞者は松本幸二。作曲者は初代清元斎兵衛です。
この「六歌仙」というものは平安時代の6人の優れた歌人を指しており、紀貫之が古今和歌集で批評したことでそう呼ばれるようになりました。
因みにこの6人とは、僧正遍照・在原業平・文屋康秀・喜撰法師・大伴黒主・小野小町です。
「六歌仙容彩」は5人の歌人(小野小町は脇役として登場)をそれぞれ題材とした五変化舞踊として天保2年(1831年)に江戸中村座で初演されました。つまりこの5段を総合して六歌仙容彩なわけです。
もともとは大阪道頓堀・角座で嵐雛助(嵐眠獅)が「化粧六歌仙(よそおいろっかせん)」というものを長唄で上演し、それを六歌仙容彩として作り直し、「喜撰」に清元を加えて上演されるようになりました。
現在、舞踊会では清元のみ、長唄のみの演奏というケースが多くありますが、歌舞伎では長唄との掛け合いが一般的です。
今回も長唄との掛け合いの舞台です。
通称の通り、今回の主役は喜撰法師です。(六歌仙の中でもう1つ、文屋康秀を題材とした「文屋」も清元の曲です。)
舞台は京都の祇園で、桜満開の山々に囲まれているとても華やかな場面です。
桜の小枝をかたげた喜撰法師がばったり出くわした茶汲みのお梶の美しさに恋をしてしまいます。
2人がじゃれながら踊っていると、それを諫めに寺から位の低いお坊さんたちが大勢やってきます。
結局ミイラ取りがミイラになるという形で、お坊さんたちも一緒に踊ってしまうというユーモラスな筋です。
この曲には「チョボクレ」「住吉踊り」といった江戸時代に流行った賑やかなナンバーも組み込まれていて年末を彩るには最高だと思いますよ0(^ ^)0
清元 國惠太夫
参考文献
清元全集(日本音曲全集)・宗家直伝清元集(中巻ノ五)・清元志寿太夫「清元五十番」解説本(吉川英史監修)
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