歌舞伎の今昔1 「照明」

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こんにちは。くにえです。

いやー雪ですね。都心でも牡丹雪が舞い、屋根も薄っすらと白くなっています。

体感だけではなく、目でも寒さを感じられる日でしたね。

 

さて、今回は久しぶりに歌舞伎の今昔にスポットを当てたいと思います。


 

「照明について」


舞台において欠かすことの出来ない照明。

今は文明が進み、照明機材で色とりどりの演出を照明で表現することが出来ます。

例えば、深い青で夜を表現したり、ライトを点滅させることで雷を表現したり・・・。


 

では、江戸時代の電気の無い時代はどうしていたのでしょう?

 

古い文献によると歌舞伎興行は基本的に外が明るいときに幕を開けていました。

 

 

昔の劇場は規模にもよりますが、今の3階建ての建物くらいの大きさがあって
2階席もありました。

その2階席の壁が戸になっていて開け閉めをすることでライトの代わりをしていたそうです。

 

 

2階席の手すりに提灯をぶら下げたり、棒に皿をつけてその上に蝋燭を立てて
役者の顔に近づける「面明かり(つらあかり)」という道具も使われていたそうです。


 

今と昔の違いは舞台だけが明るいのではなくて劇場全体が明るかったということです。


 

また、長い時代物の場合など、物語が一日で終わらない芝居があります。
日も暮れて劇場に光が入らなくなります。

そういったときには興行の責任者(太夫元・たゆうもと)が芝居の途中に出てきて
「本日はこれぎり」といって幕を閉め、次の日に続きを上演することもあったそうです。


 

 

自然の摂理に身近に接した穏やかな生活の中で、観客も納得して明日を心待ちにする。

再び幕が上がれば熱狂し、感動する。


 

何とも良い時代のように思えます。

 

 

清元 國惠太夫